麦島内科クリニック

2015.12.17更新

■過活動膀胱
<過活動膀胱とは>
過活動膀胱は頻尿や尿漏れの他に、急に我慢できない程の尿意が起こったりする「尿意切迫感」や、夜中に何度も尿意で目を覚ましてしまう「夜間頻尿」などが症状としてみられる病気です。


<過活動膀胱の原因>
(1)神経のトラブルが原因
脳にダメージを受けたり、脊髄障害を引き起こした後遺症などが原因で、脳と膀胱(尿道)の筋肉を結んでいる神経回路に障害が発生します。
そのため、尿意を感じるための信号が送られにくくなり、過活動膀胱の症状が起こる場合があります。

(2)神経トラブルとは違う原因
出産を経験した女性の場合、膀胱や子宮・尿道を支えている骨盤底筋の緩みなどにより排尿メカニズムの働きがうまくいかず過活動膀胱を引き起こすこともありますが、ほとんどは加齢による症状があげられています。

しかし、原因が特定できない場合もあり、あらゆる問題が複雑に絡みあったことで発症しているのではないかと考えられています。実際、これまでにこのようなケースが多く存在しています。

<過活動膀胱の診断と治療>
点数が3点以上の方は、過活動膀胱の可能性があるため早めの受診が必要です。排尿に関する症状があるといっても、過活動膀胱だとは限りません。
受診された場合、膀胱の状態を確認するための検査を行うことがありますが、これは様々な可能性を視野に入れた大切な検査になります。
初診時には比較的簡単な検査を行いますが、ほとんどが血液検査や尿検査が一般的となります。不安にならず、早めの受診をお願いします。
過活動膀胱と診断された場合は、効果的な投薬治療をご案内いたします。いつでもお気軽にご相談ください。

投稿者: 麦島内科クリニック

2015.12.17更新

■誤嚥性肺炎
<誤嚥性肺炎とは>
誤嚥性肺炎は、本来、食道を通る食べ物や唾液などが誤って気管に入ることで、肺へと流れ込み細菌が増殖して起こる症状です。
発症の多くは、高齢の方で何度も再発するのが特徴です。再発を何度も繰り返していると、耐性菌が発生します。耐性菌は、抗生物質治療に抵抗性を持つ菌になるため優れた抗生物質が開発された現代でも、多くの高齢者が死亡する原因となっています。

<誤嚥性肺炎の原因>
誤嚥性肺炎は、脳卒中や脳梗塞といった脳血管障害や神経系疾患などにより、神経伝達物質が欠乏することで、咳反射や嚥下反射などの神経活動が低下して起こります。
神経活動が低下すると、睡眠中など無意識のうちに細菌が唾液と一緒に肺へと流れこみ(不顕性誤嚥)、細菌が増殖することにより肺炎を引き起こします。また、嘔吐の際に逆流してくる胃液や食べ物などが肺へと流れ、引き起こす場合もあります。


<誤嚥性肺炎の症状>
一般的な肺炎の症状としては、発熱・咳・痰(タン)・呼吸困難・胸痛などがあります。しかし、高齢者の場合、これらの訴えがはっきりしていません。
肺炎の症状の一つである高熱(38℃以上)などの、体温の急激な上昇はなく、あっても微熱程度です。しかし、いつもより呼吸数は増え、皮膚や舌の乾燥など脱水状態になることが多くあります。

「食欲がない」「元気がない」など、普段と違うと感じた場合は、肺炎を疑って検査をすすめることが必要です。

<誤嚥性肺炎の診断>
肺炎は、胸部レントゲン検査を行い診断します。
誤嚥性肺炎の場合、低酸素血症になっていることが多いため、胸部レントゲンの他に動脈血酸素飽和度の計測も診断の参考となります。肺炎の原因である菌(起因菌)の同定を、喀痰(かくたん)の培養検査で行います。
気管支鏡により、痰を取り出し診断することがより確実ですが、患者さんの状態が良くない事のほうが多いため、起因菌の同定は難しいこともしばしばあります。

<誤嚥性肺炎の予防と治療>


・予防治療
再発を防止するには、パーキンソン病や脳梗塞後遺症として使用されるアマンタジンや 抗血小板作用を持つ脳梗塞予防薬が有効です。これらの治療薬は、咳反射は嚥下反射を改善し、誤嚥性肺炎を予防するとともに、脳梗塞の予防も同時に行えます。
それとは別に、咳反射を亢進させる降圧薬であるACE阻害薬も、誤嚥性肺炎に有効であるとの報告もあります。
また、日々歯磨きを行うことで口内の雑菌を減少させたり、食後2時間程度、座ることで胃液逆流を防ぐことは誤嚥性肺炎の予防を行う上で大切なことです。さらに、高齢者の場合、歯茎をマッサージすることで嚥下反射が改善するので、誤嚥性肺炎の予防に効果的です。

・抗菌薬治療
抗菌薬飲みを頼り解熱できたとしても、誤嚥予防対策をしなければ、ダラダラと微熱が続き、永遠に抗菌薬を止めることができなくなります。

<生活上の注意>
肺炎が原因による死亡順位は全体の第4位、高齢者のみでみると第1位となっています。その多くが、誤嚥性肺炎と考えられており、予後についても年齢を重ねるごとに悪くなります。
ただし、それは年齢そのもというより、併存症などの条件が深く関わっていると考えられています。

投稿者: 麦島内科クリニック

2015.12.17更新

■ 慢性閉塞性肺疾患(タバコ病)
当院では、内科医の他、呼吸器専門医が対応させて頂いております。(予約制)

 

<慢性閉塞性肺疾患(タバコ病)とは>
気管支(空気の通り道)や、肺(酸素の交換を行う場所)に有害な空気が入り込む事で障害が起きる疾病です。空気の出し入れに支障が起きてしまう為、通常の呼吸がうまくいかず、息切れを起こしてしまいます。
2006年の死亡原因の10位にタバコ病(COPD)が入っています(厚生労働省発表)。
特筆すべきは男性のみの順位だとは8位となり、女性よりも多くの男性がこの疾病が原因で亡くなっています。患者さんの数も、実際には500万人以上にものぼると推定されます。

 

<慢性閉塞性肺疾患(タバコ病、COPD)の原因>
“肺の生活習慣病”とも呼ばれる慢性閉塞性肺疾患は、喫煙者や喫煙歴のある方が多くかかる病気です。約4,000種もの化学物質がタバコの煙に含まれていると言われ、その中には発がん性物質も含まれています。
特に、ニコチン・タール・一酸化炭素の悪影響は深いものです。この有害物質が気管支や肺を傷つけてしまう事で、肺胞に損傷が起きたり気管支に炎症がおこったりします。
また、喫煙の習慣が無い人でもタバコ病を発症してしまう事があり、その大半は受動喫煙が原因とされます。喫煙以外に挙げられる主な原因は、大気汚染や職業的な細かな埃やゴミ、化学物質などがあります。

 

<慢性閉塞性肺疾患(タバコ病、COPD)の症状>
“息切れ”が代表的な症状で、しつこい咳と痰、風邪を引いたときや運動時のぜいぜいする状態も症状の一つです。
病気が進行すると、口すぼめ呼吸(急激な運動後などに口笛を吹くように口をすぼめて呼吸する)やビヤ樽状の胸郭(胸部の前後の幅が拡大し状態が樽のようになる)が見られることもあります。

 

<慢性閉塞性肺疾患(タバコ病、COPD)の診断>
スパイロメーターを用いた肺機能検査が、診断には欠かせません。空気を思い切り吸い込んだ後、吐き出した空気の量と最初の1秒間に吐き出された空気の量を調べます。この数値の比が慢性閉塞性肺疾患の診断の基になります。
息切れや咳・淡などの自覚症状がではじめた場合は、早期に肺機能検査を行う事をお勧めします(当院での受診が可能で、肺年齢の測定も行っています)。


<慢性閉塞性肺疾患(タバコ病、COPD)の治療>
慢性閉塞性肺疾患は治療ができる疾病です。
慢性閉塞性肺疾患を治療する事で、病気の進行を遅らせる事はもちろん、自覚症状の軽減や運動機能を高める事まで出来るようになります。完治は極めて困難な現状ではありますが、治療する事で同年代の健康な人と変わらない生活を送る事ができます。

 

・禁煙
治療の一歩は禁煙です。長期間の禁煙は喫煙者の7人に1人を慢性閉塞性肺疾患にしてしまいます。固い決意をもってタバコをやめ、最適な治療を受ける事で、症状の進行をゆるやかにし、症状を緩和する事ができます。

 

・薬物療法
慢性閉塞性肺疾患では、気管支を広げるお薬(気管支拡張薬)の吸入が治療の基になります。この治療で気管支を広げ空気の通りを良くすることで、息切れなどの症状の改善が期待できます。
息切れの症状が強く出てしまっている場合は、運動前の地使用がより効果的です。常に息切れの症状がある場合は、長時間効果が継続するタイプの吸入薬を勧められます。

 

・栄養管理
意外に皆さんお気付きにならないのが、ご自身の栄養状態の事です。慢性閉塞性肺疾患の患者さまの場合、体重の減少傾向が多く見られます。
体重が減ってしまうと、風邪などひきやすくなってしまうので、栄養のあるものを摂取するよう心がけていただく事が大切です。

 

・酸素療法
慢性閉塞性肺疾患に有効とされる治療を行っても、症状が改善されず、低酸素血症が継続してしまう場合は酸素両方を始めなければいけません。
長期の酸素療法で、症状の改善はもちろん、精神神経機能の改善までも得る事が出来ます。酸素療法によって、外出や旅行が簡単に行えるようになります。

 

・外科手術内科的両方を最大限に行ったにもかかわらず、充分な改善が得られない場合、かつ慢性閉塞性肺疾患の中で肺気腫が優位な場合に、外科療法を選択する事がありますが、
専門医との十分な相談が必要です。

 

<慢性閉塞性肺疾患(タバコ病、COPD)の注意点>
慢性閉塞性肺疾患は慢性的な他の疾患の症状に類似する箇所がある為、発見が遅れてしまうケースが多々あります。
代表できな症状である、息切れ・咳・淡などの症状があれば、まず慢性閉塞性肺疾患を疑って早期の受診をしましょう。

投稿者: 麦島内科クリニック

2015.12.17更新

■脂質代謝異常症
<脂質代謝異常症とは>
血液中のコレステロールや中性脂肪が増えてしまう状態を脂質代謝異常症と言います。この症状を放置してしまうと、血管に不純物(コレステロールや中性脂肪)が溜まって、血管が詰まりやすくなり、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの、大きな病気へと発展しかねません。
コレステロールには大きく分けて、悪いコレステロール(LDLコレステロール)、良いコレステロール(HDLコレステロール)とがあります。動脈硬化を引き起こすLDLコレステロールを減らし、動脈硬化を予防するHDLコレステロールを増やしていくことが重要になってきます。

 

<脂質代謝異常症の原因>
脂質代謝異常症の原因の多くは食生活や生活習慣の乱れ、運動不足などが挙げられます。
食生活の影響は最も大きく、高カロリーの食事(飽和脂肪酸・コレステロール・糖質などを多く含む食品)やアルコールの接種過多でコレステロールや中性脂肪が増加していきます。喫煙の習慣は、善玉コレステロールを減少させ、運動不足が中性脂肪の代謝を悪くしてしまいます。
これら以外で考えられる要因として、ホルモンの異常やお薬の副作用などがあります。また、遺伝性の家族性高コレステロール血症とい病気もあります。

 

<脂質代謝異常症の症状>
脂質代謝異常症であったとしても、自覚症状が出ない為、検診時の血液検査で偶然発見する方がほとんどです。自覚症状が認められる事には、症状は進行しており、血管はボロボロで治療はが困難なケースが多くなります。自覚症状が無い時期から、定期的な検査と治療を受ける事が重要です。
また、家族性高コレステロール血症の場合はアキレス腱が太いという傾向が見られます。

血液検査で検査脂質代謝異常症を調べます。
総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪のそれぞれの値を検査し、安定時であれば3ヶ月に1度ていどのスパンで採血し、検査します。
正確な数値を得るために、朝食前のお腹が空いている状態で測定します。

 

<脂質代謝異常症の診断>
脂質代謝異常症の診断に必要な基準は、空腹時に行う血液検査で血液中の資質が下記のいずれかにあれはなるかどうかです。
【高LDLコレステロール血症】LDLコレステロール≧140mg/dL
【低HDLコレステロール血症】HDLコレステロール<40mg/dL
【高中性脂肪血症】トリグリセライド≧150mg/dL

他にも治療中の病気がある人などは、どの症状によって基準値がより厳しいものになる場合があります。
これまでは、コレステロール値が220mg/dL超だと「高コレステロール血症」と呼ばれ、治療を要しました。しかし近年は、心筋梗塞や脳卒中を引き起こしているのは、LDLコレステロール値が高い場合であることがわかってきました。その結果を踏まえ、診断基準から総コレステロールが消え、LDLコレステロール値での判断が採用されるようになりました。

 

<脂質代謝異常症の合併症>
高数値のLDLコレステロール血症や高中性脂肪血症を長期間放置してしまうと、動脈に脂質が溜まり、詰まったり血管の壁が硬くなったりして動脈硬化が進んでいきます。
もし、心臓の血管が動脈硬化を起こしてしまえば狭心症や心筋梗塞のリスクが増え、脳の血管が動脈硬化を起こせば脳梗塞のリスクが高まります。

 

<脂質代謝異常症の治療法>
脂質代謝異常症の治療法には大きく分けて3つの方法があります。
まず取り組むのが食事療法と運動療法です。これらをおこなっても数値が思うように下がらない場合に薬物療法へと移ります。

 

・食事療法
食べ過ぎや脂質の多い料理、太り過ぎ(肥満)を防ぐことが重要です。
1.一日の摂取カロリーを守りましょう。
2.ビタミン、ミネラル、食物繊維などを意識して多くとりましょう。
3.脂肪分の多く含まれる肉類よりも、不飽和脂肪酸の多い青魚を中心にとるようにしましょう。
4.ビタミン、ミネラル、食物繊維の多く含まれる、海草やキノコ類、野菜を多くとりましょう。

 

LDLコレステロールが高く、HDLコレステロールが低い場合は特に注意して、卵黄・マヨネーズ・レバーすじこ等の摂取を抑え、コレステロールの量を調整します。
中性脂肪が高めの場合、アルコールを控え、炭水化物や清涼飲料水・菓子などの糖質の接種を抑えましょう。

 

・運動療法
運動する事で血流が良くなり、LDLコレステロールが分解され減り、HDLコレステロールが増えます。継続して運動する習慣が身に着く事で、太りにくい体質になっていきます。
運動療法は特に中性脂肪が高めの場合や、HDLコレステロールが少ない場合に効果を発揮します。ウォーキングや軽いランニング、水泳などの有酸素運動を1日30分以上、週に3回から4回程度行うのが効果的です。
食事療法と運動療法でも目標数値に届かなかった場合は、薬物療法へ移行します。
治療薬は大きく分けて2種類、LDLコレステロールを減らす薬と中性脂肪を減らす薬です。
どうしても食事・運動療法がうまくいかない人、食事・運動療法ができない人は薬物療法を行う事になります。


LDLコレステロールの高い人はスタチン系のお薬(クレストール、リピトール)や脂質吸収抑制剤(ゼチーア)を、中性脂肪が高い人はフィブラート系のお薬(ヘザトール)を用いていきます。


<脂質代謝異常症の予後>
一度薬物療法を始めて、脂質代謝異常症の薬を飲んでも、食事療法や運動療法によってコレステロールの数値を目標範囲に収める事が出来るようになれば、お薬をやめられる場合もあります。


<脂質代謝異常症の注意点>
自覚症状が無い為、脂質代謝異常症のお薬の服用を途中で辞めてしまう方もいらっしゃいますが、定期的な血液検査でLDLコレステロールや中性脂肪をを測定し、コントロールして行く事が重要なのです。

投稿者: 麦島内科クリニック

2015.12.17更新

■血圧の基準値
<血圧の基準値>
家でご自身で測った血圧値(家庭血圧)の場合135/85mmHg以上。病院もしくは健康診断での測定(診察室血圧)の場合、140/90mmHg以上だと高血圧です。

世界の多くが採用している血圧基準は、WHO(世界保健機関)/ISH(国際高血圧学会)、米国高血圧合同委員会による分類になります。

日本では、日本高血圧学会により2014年に「高血圧治療ガイドライン」が改定されました。改定された正常血圧は、診察室血圧140/90mmHg(収縮期血圧/拡張期血圧)未満となっています。
また、高血圧(140/90mmHg以上)は、I度、Ⅱ度、Ⅲ度と段階的に分類されます。
※ガイドラインにある血圧は、診察室血圧となります。

 

<高血圧の検査と診断>
健康診断を受けた際に、血圧が高いと診断された場合は、速やかに病院を受診しましょう。
高血圧の怖さを十分に理解したうえで、症状が軽い段階から治療を行うことが大切です。

 

<スクリーニング検査>
高血圧の検査を行う際は、問診、血圧測定、肥満の判定、尿・血液・眼底・心電図・胸部X線検査などスクリーニング検査と呼ばれるものをします。
この時点で症状が軽く、合併症などがなければ、生活習慣の指導を行います。
しかし、スクリーニング検査で血圧が高く、合併症の疑いがあれば、その内容に応じて精密検査を行います。検査の目的としては、高血圧が原因不明の本能性(一次性)なのか、もしくは他の病気が原因となる二次性かどうかを判別することです。

二次性の疑いがある場合は、その原因となっている病気を突き止め治療します。
本能性(一次性)の場合には、高血圧の進行度合いとその他合併症の有無を調べ、症状に合わせた治療計画を立てます。

スクリーニング検査により合併症の疑いがある場合は、臓器の断層面を検査できるX線CTやMRI、MRA、超音波検査などの精密検査を症状によって受けていただきます。

投稿者: 麦島内科クリニック

2015.12.17更新

・更年期とは

更年期とは、女性ホルモンを分泌する卵巣の働きが衰えて停止し、女性ホルモンが欠乏した状態で体が安定するまでの時期を指します。
具体的には、閉経をはさんでその前後10年ぐらいの期間を指しています。今、日本女性の平均的な閉経年齢は、51歳ぐらいですから、40代半ばから50代半ばまでの期間が、更年期にあたりますが、これには個人差も大きく、人によっては30代後半から卵巣の機能が衰えはじめ、更年期障害のような症状になる人もいます。


・更年期障害とは

思春期の女性の卵巣には、数十万個の卵胞があります。しかし、40歳前後を境にその数は急激に減少し、50歳になると数千にまで減少するといわれています。その減少とともに、卵巣の機能も衰えてきます。
それまで卵巣から分泌されていたエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの量が徐々に減少してくるのです。これだけでも、体のホルモン環境は変化するわけです。さらに卵巣から十分にホルモンが分泌されないにもかかわらず、脳下垂体からは性腺刺激ホルモンが分泌され、女性ホルモンのバランスが乱れます。そうすると、自律神経の働きや情動まで影響を受け、様々な症状が襲ってきます。これが更年期障害です。


・更年期障害の症状

更年期障害の症状は、非常に多岐にわたるのが特徴です。自律神経の働きが乱れて起こるのがホット・フラッシュ、いわゆるのぼせと発汗です。
上半身が暑くなり、発汗します。手足の冷えや耳鳴りなども多い症状です。また 、頭痛、肩こり、腰痛、疲労倦怠感、トイレが近い、腟や尿道がヒリヒリする、性交痛なども多い症状です。
そしてイライラしたり何でもクヨクヨ考え込んでしまう、気分が落ち込んで鬱になるといった精神症状も更年期に現れやすい症状です。

 

・更年期障害の検査

更年期障害の疑いがある時は、専門医の診察を受け、まず血液ホルモン検査をすることをすすめます。
更年期障害は、卵巣機能がまだ変動している時期にみられるもので、一定の時期が過ぎて卵巣機能が完全に低下し、全身の状態がホルモンの変化に慣れてくれば、自然によくなると考えられています。そのため、一度だけの血液ホルモン検査では、エストロゲンが正常な値を示すことがあります。


・更年期障害の診断

更年期と診断されるためには、老化した卵巣を活発にしようとして脳下垂体(のうかすいたい)から大量に分泌される性腺刺激ホルモンの値が高いことを確認することが重要です。
また、更年期障害は、甲状腺や循環器などの内科疾患、整形外科疾患、脳神経外科疾患、耳鼻科疾患あるいはうつ病などの精神科疾患と類似した症状を示すことがあるので、複数の診療科の受診が必要になることもあります。自分勝手に判断し、市販薬や民間療法に頼るのは禁物なので、正しい診断を受けてください。
更年期障害の症状の程度は、クッパーマン更年期指数、簡略更年期指数などの質問用紙に答える方法によって、客観的に評価することができます。


・HRT(ホルモン補充療法)

HRT(ホルモン補充療法)とは、文字通り、閉経前後に体内で不足してきたエストロゲンを、飲み薬や貼り薬として補充する療法です。エストロゲンだけを補充すると出血や乳房の張りなど不快な症状を伴いますので、これらを予防するために黄体ホルモン(プロゲステロン)というもう一種の卵巣ホルモンを補充する必要があります。(黄体ホルモンは排卵した後に卵巣から分泌されるホルモンです。)ですからHRTはエストロゲンとプロゲステロンの2種類のホルモンを補充することが基本的な方法です。
エストロゲンを補充することによって、自律神経のバランスが整ってくるため、特に、ほてり・発汗・冷え・動悸などの血管系の不調や、うつなどの神経症状は改善されやすいといわれています。また、前述の症状に加え、皮膚や粘膜の乾燥や萎縮、コレステロール値の上昇などにも、高い効果がみられ、若々しさを取り戻す人もみられます。骨粗しょう症の予防効果も高く、閉経後すぐに治療を始めた人ほど効果的で、いったん減った骨量を増やす効果も確認されています。


・HRTの投与法

①周期的投与
法周期的投与法は、エストロゲン投与には休薬期間をおかず、プロゲステロンのみ、遂次周期的に投与する方法です。擬似月経状態(排卵が無いので妊娠はしない)を作るため、プロゲステロン服用後には出血がみられます。そのため、主に閉経後間もない人を対象に行われます。
②逐次的併用法
逐次的併用法は、エストロゲン、プロゲステロン共に7日間の休薬期間をおく投与方法です。エストロゲンを21日間服用。後半の10日間は黄体ホルモンも同時に服用します。その後7日間の休薬期間に出血がみられます。
③持続併用投与法
持続併用投与法は、エストロゲンとプロゲステロンを併用し、両方を連続投与する方法です。プロゲステロンを併用するのは、子宮体がんの予防のためで、不規則な出血がみられますが、治療を続けていくうちに自然と止血します。効果は、周期的投与法とほとんど変わりません。
④エストロゲン単独投与法
作用の穏やかなエストロゲン(エストリオール)を単独で投与する方法です。エストロゲンだけを、長期にわたって投与し続けると、わずかながらも子宮体がんのリスクが高くなりますので、子宮を摘出した人を対象に行なわれます。


・更年期障害の注意点

更年期障害は、ちゃんと治療のできる症状だということを理解してください。更年期障害は、辛抱しなければならないというものではありません。更年期障害の症状に気づいたら、なるべく早期に治療施設に相談しましょう。
また、HRT(ホルモン補充療法)は、恐怖を味わうような治療法ではありません。単純に更年期障害を治療するだけではなく、骨粗しょう症を防ぐことが可能で、その後の生活を豊かで楽しくするための治療法です。
更年期障害は、大変気持ちが憂鬱になってしまう部分も多いかと思います。ですが、きちんと治療を受ければ、安定した症状を保つことができ、無事に乗り切ることができます。更年期障害の治療法は、メリットもあればデメリットもあります。ですが、今後の生活を楽しく前向きに送れるようにするために、治療をするのです。

投稿者: 麦島内科クリニック

2015.12.17更新

片頭痛とは

片頭痛とは、一般的には片側性の脈拍に一致した拍動性の頭痛で、吐き気があり、光や音に対して敏感になります。しかし、両側性で非拍動性の場合でも、片頭痛のこともあります。片頭痛の女性は男性の三倍多く、比較的若い方20歳から30歳前後の方によく起こります。片頭痛は人口の約8%の人にみられます。

 

片頭痛の原因

片頭痛の原因は、解明されていませんが、三叉神経血管説と血管説があります。痛みの原因として脳血管の周囲に分布するサブスタンスP神経伝達物質のニューロペプチドがあり、遊離して、血管拡張や血管周囲の炎症が起こり、痛みが生じるという説で、三叉神経血管説といわれています。
血管が収縮し脳血流が低下して、前兆の症状が現れて、発作時には血管が拡張して頭痛が生じるという説は血管説といわれています。現在の時点では脳血流が低下している時期にすでに頭痛が始まっているため、三叉神経血管説が有力です。

 

片頭痛の症状

1 片頭痛は名前の通り、片側の頭痛として現れることも少なくありません。痛みの現れる場所が左右変動したり、両側だったりと様々です。

2 頭痛発作の時に、まぶしい光、不愉快な匂いで頭痛が強まることがあります。

3 頭痛が、数日~数週間の間隔で発作的に起こります。

4 脈を打つのに合わせてガンガン、ズキンズキンとした痛みがあります。

5 痛み部位は頭の片側の時が多いが、両側の時もあります。

6 頭痛発作の前後に発熱や下痢を起こすことがあります。

7 一回の頭痛が数時間から3日前後で治まります。

8 頭痛発作の始まりに、吐き気、嘔吐を起こすことがあります。

9 血のつながった人の中に似たような頭痛持ちの人がいます。

10 女性に多く30歳代までに発症することが多いです。

 

片頭痛の検査

片頭痛は脳組織に異常をきたさないため、検査では診断できません。

 

片頭痛の診断

頭痛の診断は問診が中心です。いつどのように起こったのか、どのくらい続いているか、以前に起こったことがあるのか、他の症状があるかなどを問診します。前兆のない片頭痛の定義は、国際頭痛学会により、決められています。

1 現在までに下記2~5を満たす頭痛が5回以上の発作があった

2 頭痛発作が4時間~3日間持続する

3 次のうち、少なくとも2項目を満たす
片側の頭痛
日常生活が妨げるほどの、かなり強い頭痛
ズキズキする頭痛

4 発作中、次のうち1項目を満たす
吐き気または嘔吐
光過敏と音過敏

5 症候性頭痛(悪性の頭痛)を否定できる

 

片頭痛の治療法

片頭痛の治療法は薬物療法(頭痛発作時の治療、頭痛予防的治療)です。

発作時の治療
発作時はトリプタン製剤(イミグラン、マクサルト、ゾーミック、レルパックス)が中心になります。頭痛が始まってからでも効果があり、発作に伴う悪心、嘔吐、光過敏・音過敏などの随伴する症状に対しても有効です。70%前後の片頭痛の患者さんに有効です。ひとつの種類のトリプタン製剤が無効でも、他のトリプタン製剤が有効であることもあります。現在、日本においては4種類のトリプタン製剤(イミグラン、マクサルト、ゾーミック、レルパックス)が使用可能です。トリプタン製剤には、錠剤、口腔内崩壊錠、点鼻薬、注射薬などがあります。
以前から使用されてきたカフェルゴットやクリアミンなどのエルゴタミン製剤は、前兆の時期に投与すると効果がありますが、頭痛が起こってからでは効果がありません。現在では、効果・副作用からトリプタン製剤のほうがよく、エルゴタミン製剤は片頭痛の発作回数の少ない場合、もしくは発作の持続時間が長い場合ときだけに使用するのがよいとされています。また、頭痛の程度が軽い場合には、まず消炎鎮痛薬を内服して、有効でない場合はトリプタン製剤を使用する治療法も行われます。頭痛発作時に悪心・嘔吐が強い場合には、ドーパミン拮抗薬であるメトクロプラミド(プリンペラン)やドンペリドン(ナウゼリン)などの制吐薬を併用すると効果的です。

予防的治療
予防薬は毎日内服し続けて発作を抑制します。ただし、これらのお薬は最低でも2週間から1ヶ月飲み続けないと効果が出てきません。効果があれば3ヶ月ほど飲み続けることにより発作頻度の減少、頭痛の痛みが軽減されます。頭痛が落ちついてくれば薬を減らしていくことができます。
予防薬を使う基準としては、まず発作の頻度があげられます。最近は、1カ月に3~4回以上、支障度の強い頭痛発作がある場合には、原則として予防薬を使用することが推奨されています。片頭痛の予防薬としてはカルシウム拮抗薬(ミグシス、ワソラン)、β遮断薬(インデラル、セロケン)、抗セロトニン薬(ミグリステン、ぺリアクチン)抗うつ薬(トリプタノール、パキシル、ルボックス)、抗てんかん薬(デパケン)、ロイコトリエン拮抗薬(オノン、シングレア)、ARB(ブロプレス)などがあります。
片頭痛の発作がしばしばあり、発作時の薬だけでは十分に治療ができない場合や、薬の飲み合わせで使用をできない場合、片頭痛の予防的治療を考慮しなければなりません。
日常生活の注意点片頭痛は生活習慣の改善により発作を予防または軽減することができます。

1 チョコレートやアルコール(赤ワイン)などの飲食物をとると頭痛がおこりやすくなることがあります。

2 寝過ぎや寝不足は避けましょう。

3 月経の始まる前や月経中などに発作が集中して起こる人は、早めに予防薬を内服しましょう。

4 経口避妊薬やホルモン療法で頭痛が悪化することがあるので、症状がひどい時は治療の継続を検討します。

 

片頭痛の注意点

慢性的に鎮痛剤を使用しすぎていると薬物乱用性頭痛となることがありますので、予防薬を併用してコントロールする必要があります。

投稿者: 麦島内科クリニック

2015.12.17更新

逆流性食道炎(GERD)とは

「逆流性食道炎」は、胃酸が食道に逆流することで、食道の粘膜に炎症が起こる病気です。
胃では、酸性度の強い塩酸(胃酸とも呼ばれています)と消化酵素が含まれる胃液が分泌されています。更に、胃には酸から粘膜を守る防御機能が働いています。しかし、食道にはこの防御機能がないため、何らかの原因で胃酸が食道に逆流すると、食道の粘膜は強い酸である胃酸にさらされて炎症をこします。この胃酸の食道への逆流が繰り返し起こる事で、食道の粘膜にただれや潰瘍が生じ、胸やけや呑酸などの不快な症状がおこります。

 

逆流性食道炎とはの症状

逆流性食道炎の症状は様々ですが、日常の生活に影響を与えます。
一番多い症状は「胸やけ」です。みぞおちの辺りや喉が焼けるような胸やけ症状、胸の辺りがチリチリ焼けるような胸やけ症状です。
その他に多い症状として、呑酸があげられます。のどからすっぱいものや苦いものが口の中までこみあげ、不快感を感じさせます。
また、頻度の少ない症状としては、胸が締めつけられるような痛み、咳込んでしまう、げっぷ、胃が重苦しい、お腹が張るなどの症状などが考えられます。

 

逆流性食道炎とはの原因

胃酸が食道に逆流する原因は大きく分けると5つあげられ、逆流性食道炎の多くはある特定の原因だけでなく、いくつかの原因が重なって引き起こされます。
①胃酸の逆流を防ぐ機能の低下
本来食道と胃のつなぎ目の部分は括約筋と呼ばれる筋肉などで胃の中ものが逆流しないように弁の働きを持っていますが、加齢とともにこの働きが弱くなたり、食道裂孔ヘルニア(つなぎ目の部分の固定が弱くなり、本体お腹の中にあるものが胸のほうへととびだしてしまう)や胃の手術などで形態が変わることによって起こります。
②食道や胃の蠕動運動の低下
食道へ逆流してきた胃液を胃におくりこむのが遅れ、食道内にとどまる時間が長くなったり、胃炎や胃潰瘍などによって胃の働きが弱まり食物が長時間とどまるようになると起こりやすくなります。
③腹圧の上昇
肥満やお腹を締め付けたり、重いものを持つことにより胃が圧迫され、胃液を逆流しやすくなる。
④胃液の分泌増加
胃液の分泌が多くなると、逆流が起こったときに食道粘膜が傷つけられやすくなります。
⑤食物摂取量の増加
食べ過ぎたり、脂肪の多い食事をとると胃の働きが悪くなり、胃と食道の間にある「噴門」が開きやすくなります。空気がでれば「げっぷ」、胃液がでれば「逆流」になります。

 

逆流性食道炎の治療法

逆流性食道炎の診断では、問診で診断され、治療に関しては、薬剤療法が中心となります。
胃酸分泌を強力に抑える薬(ネキシウム、オメプラール、タケプロンなどのプロトンポンプ阻害薬やアシノン、ガスターなどのH2ブロッカー)を胃酸の分泌量を抑え、食道への逆流を防ぐことを目的に内服します。そのほかには食道の蠕動運動を促進させる薬(ガスモチン、ガナトン)、食道の粘膜を保護する薬(ムコスタ、セルベックス)を併用することもあります。
治療を開始し、約1~2週間で症状が改善することが多いですが、一時的な改善で、症状が再発することも多いので、自己の判断で服用を中止しないほうがよいでしょう。また、非常にまれですが、薬物療法で効果がない場合に、外科的手術をすることもあります。

 

生活習慣にも一工夫

症状の再発を防ぎ、楽しい生活を続ける為に、毎日の生活に一工夫する事も大切です。

◆眠るときは、腹部から上を高くする   
◆前かがみの姿勢を避け、背筋をのばす  
◆お腹を締め付けないようにする 

◆過度にアルコールや炭酸をとらない
◆食事は腹八分目に
◆良く噛んで食べる

 

逆流性食道炎の症状の評価

逆流性食道炎の診断には、問診で診断されます。問診の際に、逆流性食道炎の症状の度合いを評価する目的で「GERDQ」という問診票が用いられます。チェックポイントが8ポイント以上で逆流性食道炎を診断され、また現在治療中(薬剤を服用等)の方では、赤枠内にチェックが1つでも入ると、「治療効果不十分」と診断されます。

投稿者: 麦島内科クリニック

2015.12.17更新

過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群とは、腸に器質的な病気(大腸がんや大腸ポリープなど)は存在しないにもかかわらず、機能的な症状がある病気です。
腹部の検査を受けても、特に異常はないといわれ電車の中で腹部に強い痛みを感じて途中で電車から降りてしまう、仕事中に急にお腹が痛くなってしまう、便秘や下痢などが慢性化しているなどの症状がある場合は、過敏性腸症候群が疑われます。
以前は過敏性大腸症候群と呼ばれていましたが、腸管の機能異常は大腸だけでなく、小腸も関係していることがわかってきたため、最近は過敏性腸症候群と呼ばれています。過敏性腸症候群は日本人に多くみられる病気で、約10%の方に過敏性腸症候群の症状がみられます。

 

過敏性腸症候群の症状

過敏性腸症候群の症状は、排便によって改善する腹痛と便通の異常(下痢型、便秘型、および下痢便秘交替型)を主体とします。症状はごく軽いものから重いものまであります。便通の異常は、下痢型では軟便~水様便、回数も1日数回から数十回と幅があります。
便秘型では1回あたりの排便の量が少なく残便感が強く、時に兎糞状の便になります。消化管の症状も下痢や便秘、腹痛などだけでなく、吐き気、げっぷ、胸やけなどの上部消化管症状が出現することもあります。その他にも、頭痛、肩こり、めまい、動悸、頻尿などの全身症状や、抑うつ気分、不安感、焦燥感などの精神的な症状があります。なぜ様々な症状が起こるのかというと、腸管のみでなく全身の平滑筋の機能異常があるからと考えられています。
過敏性腸症候群の症状には、出やすい状況があります。
一般的には、仕事中、会議中、授業中など、強いストレスや緊張を感じる時に、症状が出やすくなります。
その逆に仕事や学校が休みの日や、通勤・通学中でも帰社・下校時には症状が出にくいということがあります。
過敏性腸症候群は、その症状から大きく3つに分けることができます。

 下痢型

 腹痛や腹部違和感を感じる慢性的な下痢

 便秘型

 腹痛や腹部違和感を感じる慢性的な便秘

 下痢・便秘交代型

 下痢型と便秘型の症状を繰り返す

 

過敏性腸症候群の原因

過敏性腸症候群の原因は、不規則な生活、ストレス、精神的な緊張、不安などがあります。中でもストレスは過敏性腸症候群の大きな原因であるとされています。腸管の運動は、脳と腸管を結ぶ自律神経(交感神経と副交感神経があります)と腸管自体の神経線維によりコントロールされています。交感神経は腸管の運動、緊張を抑制し、副交感神経は全く反対の性質があります。これらに障害が起きると腸の運動が乱れて、症状が起こります。不規則な生活、ストレス、精神的な緊張、不安などが自律神経を介して腸に伝達され、腸が過敏になり腹部症状を引き起こします。

 

過敏性腸症候群の検査

過敏性腸症候群は、直接病気を診断する検査はありません。便中の血液の有無を調べる便潜血の検査や血液検査を行なうこともあります。

 

過敏性腸症候群の診断

診断は問診が中心で、自覚症状、症状のパターン、生活習慣、食事、ストレス、排便回数と便の状態、いつから症状があるか、どのような状況下で症状が出るか、これまでにかかった病気はないかどうか、生活上のストレスなどについて詳しく確認し、他の疾患を除外することで診断します。

 

過敏性腸症候群の治療法

過敏性腸症候群の治療法は、生活習慣の改善、食事療法、薬物療法、心理療法などがあります。いずれかの療法を組み合わせて、自分にあった治療法を行うことが重要になってきます。過敏性腸症候群は生命に関しては問題がなく、治療の目標が症状をコントロールし、うまく付き合うことが重要であることを理解して、生活の質を高めることです。

<食事療法>

過敏性腸症候群の食事療法は、バランスのとれた食事をゆっくりと規則正しくとることがポイントです。「下痢型」、「便秘型」、「下痢・便秘交替型」のパターンに応じて適切な食事のポイントをとりましょう。

「下痢型」

香辛料、冷たい飲み物、油分の多い食品、発酵食品など、腸を刺激して下痢を悪化させる食べ物は控えましょう。

「便秘型」

水分や食物繊維をよくとるようにしましょう。

「下痢・便秘交替型」

腸の症状にあわせた食事を選びましょう。

 

<薬物療法>

薬物療法過敏性腸症候群の薬物療法には、様々な種類の薬があります。症状にあわせて薬の調節をする必要があります。消化管機能調節薬や便性状の改善薬や対症療法薬などを中心に使用しますが、心理的な症状がある場合は抗不安薬や抗うつ薬を使用することもあります。

 

・男性における下痢型過敏性腸症候群治療剤(イリボー)

イリボー錠は、セロトニン5-HT 3 受容体拮抗剤です。セロトニンは、神経伝達物質の1つで、消化管の運動に大きく関係しています。ストレスなどによって遊離が促進されたセロトニンが、腸管神経に存在する5-HT3 受容体を活性化することにより、消化管運動を亢進させ、便通異常を引き起こします。また、腸が受けた刺激によってもセロトニンが遊離し、求心性神経終末の5-HT3 受容体に結合することで、脳に痛みを伝えます。イリボー錠は、5-HT3 受容体を選択的に阻害することで、消化管運動亢進に伴う便通異常(下痢・排便亢進)を改善するとともに、大腸痛覚伝達を抑制し、腹痛及び内臓知覚過敏を改善することが期待できます。男性向け下痢型過敏性腸症候群治療薬です。便秘型に対する効能はありません。また、女性では、血中濃度が上がりやすく、便秘などの副作用が起こりやすいことが臨床試験で示されています。このため、女性には適応しません。

 

・便性状の改善薬(コロネル)

高分子重合体を医薬品に改良したもので、便の性状を変化させ、便通を整えます。下痢・便秘の両方に効果があります。下痢の場合は便の水分を吸収し、便を固めます。便秘の場合は吸収した水分を保ち、便が固くなりすぎるのを防ぎます。

 

・症状を軽減する対症療法薬(下痢時はフェロベリン、便秘時は酸化マグネシウム)

下痢の場合には整腸剤や下痢止めを使用します。便秘の場合には下剤を使用します。

 

・消化管の機能調節薬(セレキノン)

消化管の運動を調節して、敏感な状態をやわらげます。

 

・抗不安薬(メイラックス)

不安や緊張をやわらげます。

 

・抗うつ薬(パキシル)

気分の落ち込みや抑うつ状態を防ぎます。過敏性腸症候群の予後

 

過敏性腸症候群の予後

治療により一時的に改善されても、再発することが多いため、定期的な薬の内服が必要になることもあります。

 

日常生活の注意点

生活習慣を改善は、生活の質を高めます。生活習慣の乱れは過敏性腸症候群の原因のひとつです。

1 バランスのよい食事

2 規則的な生活

3 十分な睡眠と休養

4 リラックスできる時間

5 適度な運動

6 趣味の活用と気分転換

7 下痢型では、外出前の排便と外出先でのトイレの場所の確認

1~7以外にも読書、趣味、スポーツなど、リラックスするための方法は人それぞれです。過敏性腸症候群を完璧にすることは、誰にとっても不可能ですし、完璧にしようとすると逆にストレスになることもあります。うまくコントロールすることは大事ですが、あまり神経質になる必要はありません。

投稿者: 麦島内科クリニック

2015.12.17更新

パーキンソン病とは

パーキンソン病は、脳が出す運動の指令が筋肉にうまく伝わらず、なめらかな動作ができなくなってしまう病気です。
パーキンソン病は50~60歳代で発症することが多く、ゆっくりと進行します。日本人の約1000人に1人がこの病気にかかると考えられています。高齢者に多い病気ですが、若い人でも発症することがあります。

 

パーキンソン病の原因

パーキンソン病の原因は、脳の黒質という部分の神経細胞が減ってしまうのが原因です。
この神経細胞は「ドパミン」という神経伝達物質を作り、「ドパミン」を使って体を動かす機能を調節する働きをしています。黒質の神経細胞が減るとドパミンも減ってしまうために運動の情報が伝わらず、様々な症状が出てきます。

 

パーキンソン病の症状

パーキンソン病の主な症状は「手足がふるえる(振戦)」「筋肉がこわばる(筋固縮)」「動きが遅い(無動)」「バランスがとりづらい(姿勢反射障害)」の4つです。
その他にも、トイレが近くなったり、よく眠れないなどの症状もみられます。これらの症状は、すべての患者さんに必ずみられるわけではなく、病気の程度によっても変わってきます。

 

パーキンソン病の検査

検査も行いますが、現在のところ「パーキンソン病だということがわかる検査」はないため、検査の結果からパーキンソン病と診断することはできません。パーキンソン病とよく似た症状の別の病気ではないことを確かめるために検査を行います。

 

パーキンソン病の診断

パーキンソン病の診断では、診察が重要です。パーキンソン病では、手足のふるえ(振戦)や、筋肉がこわばって動きにくくなる(固縮)などの症状があらわれます。
このような症状があらわれる病気は他にもありますが、パーキンソン病では、最初は体のどちらか片側のみに症状があらわれて、病気が進んでも左右で症状に差があるのが特徴です。また、非常にゆっくりと病気が進むので、いつから症状が出ているのかはっきりしません。そのため、診察では「いつ、どんな症状に気づいたのか」、「日常生活で困っていることはないか」といったことを患者さんご自身やご家族にお聞きします。なお、服用しているお薬が原因でパーキンソン病と似た症状があらわれることがあるため、服用しているお薬がある場合には、診察の時に、必ず医師に伝えてください。

 

パーキンソン病の治療法

治療には薬物療法と外科療法がありますが、基本は薬物療法です。現在はよく効く薬があるので、適切な治療を行えば症状を改善したり進行をくい止める事ができます。このほか、食事療法や生活療法などのリハビリテーションを合わせて行うことも重要です。
薬物療法
薬物療法には、足りなくなったドパミンの働きを補う目的のものと、ドパミンが減ったためにバランスが悪くなった他の神経細胞の働きを助ける目的のものがあります。

L-ドパ製剤

L-ドパ製剤は足りなくなったドパミンを補うためのお薬で、パーキンソン病治療の中心になります。
血液と脳の間には関所(血液脳関門)があり、ドパミンはこの関所を通ることができません。そのため、この関所を通ることができ、脳の中でドパミンになるL-ドパをお薬として使います。

ドパミン合成促進薬

ドパミン合成促進薬は、L-ドパ製剤と一緒にのむことで脳の中のドパミンの量を増やし、L-ドパ製剤の効果を強めたり、効いている時間を延ばしたりするお薬です。

ドパミンアゴニスト

ドパミンアゴニストは、ドパミンそのものではありませんが、ドパミンを受けとる次の神経細胞の受容体の働きを活発にしてドパミン伝達を促進します。これにより足りなくなったドパミンの代わりをするお薬です。

ドパミン放出促進薬

ドパミン放出促進薬はドパミン神経細胞からドパミンが外に出るのを助けるお薬です。

このほかドパミン放出促進剤、抗コリン薬、MBO-B阻害薬などさまざまな薬があります。

 

リハビリテーション

パーキンソン病の患者さんは、体が思うように動かないことから、何事にも消極的になりがちですが、体を動かさないでいると、筋肉や関節がますます動かなくなり、気持ちも沈みがちになってしまいます。
リハビリテーションを行って体を動かしやすくして、日常生活に必要な動作の改善を目指しましょう。ストレスは症状を悪化させます。ストレスをためず、前向きな気持ちを保ちましょう。 気持ちが落ち込んだとき、意欲ややる気がないときは、医師に相談するとよいでしょう。
パーキンソン病治療は、患者さんご自身だけでなく家族や職場の方の理解も大切です。病気をよく理解し、自分の症状をよく知ってうまくコントロールしましょう。

 

日常生活の注意点

パーキンソン病だからといって生活を変える必要はありません。パーキンソン病であることを意識しすぎず、できるだけ今までどおりの生活を送りましょう。
体が動かしにくいと、外出もおっくうになりがちですが、家の中に閉じこもって体を動かさずにいると、筋肉や関節がかたくなり、ますます体が動かなくなってしまいます。積極的に外出することで生活にメリハリがつき、心が前向きになって、運動能力が低下するのを防ぐことができます。

投稿者: 麦島内科クリニック

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