麦島内科クリニック

2015.12.17更新

・更年期とは

更年期とは、女性ホルモンを分泌する卵巣の働きが衰えて停止し、女性ホルモンが欠乏した状態で体が安定するまでの時期を指します。
具体的には、閉経をはさんでその前後10年ぐらいの期間を指しています。今、日本女性の平均的な閉経年齢は、51歳ぐらいですから、40代半ばから50代半ばまでの期間が、更年期にあたりますが、これには個人差も大きく、人によっては30代後半から卵巣の機能が衰えはじめ、更年期障害のような症状になる人もいます。


・更年期障害とは

思春期の女性の卵巣には、数十万個の卵胞があります。しかし、40歳前後を境にその数は急激に減少し、50歳になると数千にまで減少するといわれています。その減少とともに、卵巣の機能も衰えてきます。
それまで卵巣から分泌されていたエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの量が徐々に減少してくるのです。これだけでも、体のホルモン環境は変化するわけです。さらに卵巣から十分にホルモンが分泌されないにもかかわらず、脳下垂体からは性腺刺激ホルモンが分泌され、女性ホルモンのバランスが乱れます。そうすると、自律神経の働きや情動まで影響を受け、様々な症状が襲ってきます。これが更年期障害です。


・更年期障害の症状

更年期障害の症状は、非常に多岐にわたるのが特徴です。自律神経の働きが乱れて起こるのがホット・フラッシュ、いわゆるのぼせと発汗です。
上半身が暑くなり、発汗します。手足の冷えや耳鳴りなども多い症状です。また 、頭痛、肩こり、腰痛、疲労倦怠感、トイレが近い、腟や尿道がヒリヒリする、性交痛なども多い症状です。
そしてイライラしたり何でもクヨクヨ考え込んでしまう、気分が落ち込んで鬱になるといった精神症状も更年期に現れやすい症状です。

 

・更年期障害の検査

更年期障害の疑いがある時は、専門医の診察を受け、まず血液ホルモン検査をすることをすすめます。
更年期障害は、卵巣機能がまだ変動している時期にみられるもので、一定の時期が過ぎて卵巣機能が完全に低下し、全身の状態がホルモンの変化に慣れてくれば、自然によくなると考えられています。そのため、一度だけの血液ホルモン検査では、エストロゲンが正常な値を示すことがあります。


・更年期障害の診断

更年期と診断されるためには、老化した卵巣を活発にしようとして脳下垂体(のうかすいたい)から大量に分泌される性腺刺激ホルモンの値が高いことを確認することが重要です。
また、更年期障害は、甲状腺や循環器などの内科疾患、整形外科疾患、脳神経外科疾患、耳鼻科疾患あるいはうつ病などの精神科疾患と類似した症状を示すことがあるので、複数の診療科の受診が必要になることもあります。自分勝手に判断し、市販薬や民間療法に頼るのは禁物なので、正しい診断を受けてください。
更年期障害の症状の程度は、クッパーマン更年期指数、簡略更年期指数などの質問用紙に答える方法によって、客観的に評価することができます。


・HRT(ホルモン補充療法)

HRT(ホルモン補充療法)とは、文字通り、閉経前後に体内で不足してきたエストロゲンを、飲み薬や貼り薬として補充する療法です。エストロゲンだけを補充すると出血や乳房の張りなど不快な症状を伴いますので、これらを予防するために黄体ホルモン(プロゲステロン)というもう一種の卵巣ホルモンを補充する必要があります。(黄体ホルモンは排卵した後に卵巣から分泌されるホルモンです。)ですからHRTはエストロゲンとプロゲステロンの2種類のホルモンを補充することが基本的な方法です。
エストロゲンを補充することによって、自律神経のバランスが整ってくるため、特に、ほてり・発汗・冷え・動悸などの血管系の不調や、うつなどの神経症状は改善されやすいといわれています。また、前述の症状に加え、皮膚や粘膜の乾燥や萎縮、コレステロール値の上昇などにも、高い効果がみられ、若々しさを取り戻す人もみられます。骨粗しょう症の予防効果も高く、閉経後すぐに治療を始めた人ほど効果的で、いったん減った骨量を増やす効果も確認されています。


・HRTの投与法

①周期的投与
法周期的投与法は、エストロゲン投与には休薬期間をおかず、プロゲステロンのみ、遂次周期的に投与する方法です。擬似月経状態(排卵が無いので妊娠はしない)を作るため、プロゲステロン服用後には出血がみられます。そのため、主に閉経後間もない人を対象に行われます。
②逐次的併用法
逐次的併用法は、エストロゲン、プロゲステロン共に7日間の休薬期間をおく投与方法です。エストロゲンを21日間服用。後半の10日間は黄体ホルモンも同時に服用します。その後7日間の休薬期間に出血がみられます。
③持続併用投与法
持続併用投与法は、エストロゲンとプロゲステロンを併用し、両方を連続投与する方法です。プロゲステロンを併用するのは、子宮体がんの予防のためで、不規則な出血がみられますが、治療を続けていくうちに自然と止血します。効果は、周期的投与法とほとんど変わりません。
④エストロゲン単独投与法
作用の穏やかなエストロゲン(エストリオール)を単独で投与する方法です。エストロゲンだけを、長期にわたって投与し続けると、わずかながらも子宮体がんのリスクが高くなりますので、子宮を摘出した人を対象に行なわれます。


・更年期障害の注意点

更年期障害は、ちゃんと治療のできる症状だということを理解してください。更年期障害は、辛抱しなければならないというものではありません。更年期障害の症状に気づいたら、なるべく早期に治療施設に相談しましょう。
また、HRT(ホルモン補充療法)は、恐怖を味わうような治療法ではありません。単純に更年期障害を治療するだけではなく、骨粗しょう症を防ぐことが可能で、その後の生活を豊かで楽しくするための治療法です。
更年期障害は、大変気持ちが憂鬱になってしまう部分も多いかと思います。ですが、きちんと治療を受ければ、安定した症状を保つことができ、無事に乗り切ることができます。更年期障害の治療法は、メリットもあればデメリットもあります。ですが、今後の生活を楽しく前向きに送れるようにするために、治療をするのです。

投稿者: 麦島内科クリニック

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